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田中学術研究員らの研究グループがカルシウム同位体で異常な核半径増大現象を発見しました。

  • 2020年3月17日(火)

 理化学研究所 (理研) 仁科加速器科学研究センター核分光研究室の田中聖臣研修生 (研究当時)、RI 物理研究室の武智麻耶客員研究員、福田光順客員研究員、櫻井博儀室長らの国際共同研究グループは、質量数 42 から 51 までのカルシウム (Ca) 同位体の核物質半径を初めて測定し、二重魔法数核のカルシウム-48 (48Ca) を超えた領域で突如起きる異常な構造変化を発見しました。

本研究成果は、理論研究にインパクトを与えるもので、原子核構造分野の新たな原子核描像の構築に貢献すると期待できます。原子核の半径を測定することは、原子核の基本的な性質を知る上で非常に重要で、その系統的な研究から中性子ハロー、中性子スキン核といった特異な構造が明らかになってきました。

今回、国際共同研究グループは、理研 RI ビームファクトリーにおいて、不安定核を含む質量数 42 から 51 までの Ca 同位体 42-51Ca (陽子数 20、中性子数 22-31) の相互作用断面積を測定することで、それらの核物質半径を初めて系統的に決定しました。この結果、中性子数 28 を超えた同位体では、通常の原子核に比べ、半径が急激に増大することを見いだしました。この半径の増大は、原子核内の陽子分布の広がり (荷電半径) の変化よりもはるかに大きく、中性子分布の広がりが急激に膨らんだことによるものです。しかし、この半径増大現象は従来の理論では説明できず、謎の解明には、今後の研究の進展を待つ必要があります。

本研究は、科学雑誌「Physical Review Letters」のオンライン版に 3 月 13 日に掲載されました。(https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.124.102501)

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