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山崎助教らの研究グループがサンゴ骨格中からスマトラ島沖大地震の痕跡を発見しました。

  • 2020年2月17日(月)

 北海道大学大学院理学研究院の渡邊 剛講師、九州大学及び喜界島サンゴ礁科学研究所の研究グループは、2004、2005 年に発生したスマトラ島沖大地震に伴う海底の隆起と津波を示す複数のシグナルを、サンゴ骨格中の古環境復元指標から検出し、地震等によるサンゴの生息環境の変化と骨格成長への影響を明らかにしました。

インドネシア・スマトラ島沖では、過去数百年間にマグニチュード (M) 7 以上の巨大地震が繰り返し発生しています。海溝型地震では、海底 (または地表) の隆起と津波を伴うことがあり、2004、2005 年に発生したスマトラ島沖地震でも同様に、震源周辺の島で数 m 規模の隆起や巨大津波が発生しました。スマトラ島沖は豊かなサンゴ礁が広がっており、このような地震イベントは造礁性サンゴの生息環境にも影響を与えたと考えられます。これまで、過去の地震イベントの検出やサンゴ礁への影響評価は、津波堆積物の分析やサンゴ礁のモニタリングなどにより行われてきましたが、地震イベント発生前後のサンゴ礁環境とサンゴの成長応答の詳細は明らかになっていませんでした。

研究グループは、インドネシア・シメル島産の造礁性サンゴ骨格を用いて、骨格中の炭素安定同位体比や骨格成長を分析した結果、2004、2005 年のスマトラ島沖地震の発生を示す複数のシグナルを検出し、地震に伴う隆起・津波イベントがサンゴの生息環境に与えた変化と骨格成長への影響を明らかにしました。今後は、本研究の手法を化石サンゴ骨格に応用することで、より古い時代の地震イベントにおけるサンゴ礁環境の変化を捉えることができると期待されます。

なお、本研究成果は 2020 年 1 月 24 日 (金) 公開の「Geochimica et Cosmochimica Acta」誌に掲載されました。(https://doi.org/10.1016/j.gca.2020.01.037)

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