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谷本 勝一さんが第 42 回溶液化学シンポジウム「ポスター賞」を受賞しました。

  • 2019年11月7日(木)

 大学院理学府 化学専攻 博士後期課程 3 年の谷本 勝一さんが第 42 回溶液化学シンポジウム「ポスター賞」を受賞しました。

 この賞は第 42 回溶液化学シンポジウムにおいて優れたポスター発表を行った発表者に対して贈呈されるものです。今回の溶液化学シンポジウムでは 47 件のポスターのうち、4 件のポスターが選考されました。

受賞者

谷本 勝一 (大学院理学府 化学専攻 博士後期課程 3 年)

研究テーマ

RISM 理論により計算された溶媒和自由エネルギーに対する分子配向相関の影響

研究概要

 RISM 法は溶媒和自由エネルギーを計算するのに有用な手法ではあるが、相互作用点モデルの導入による分子の配向の平均化による影響から、定量性に問題があることが知られている。この近似に対する代表的な補正法として現在までに repulsive bridge correction (RBC) と部分波展開法 (PW 法) の 2 つが提案されている。本研究では RISM 法の更なる計算精度の向上に向けて、分子配向の補正が溶媒和自由エネルギーの精度に及ぼす影響を調査した。その結果、RBC 及び PW 法を適用することで、従来のものよりも定量性の良い結果が得られたことから、分子配向の補正は精度の改善に大きく寄与することが分かった。さらに分子配向の補正は主に溶媒和自由エネルギーの非静電部分に影響を及ぼすことが示された。一方で 3D-RISM と 1D-RISM とで RBC 及び PW 法の補正の傾向に違いがあることが分かった。すなわち 3D-RISM では RBC の方が、1D-RISM では PW の方が良い結果を与えた。本研究の結果から、3D-RISM 法では分子配向の補正では不十分であり、より洗練された補正が必要であることが示された。

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