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山崎助教らの研究グループがアッカド帝国崩壊の原因をサンゴの化石から解明しました。

  • 2019年10月24日(木)

 北海道大学大学院理学研究院講師及び NPO 法人喜界島サンゴ礁科学研究所理事長の渡邊 剛氏、九州大学大学院理学研究院助教及び同研究所長兼副理事長の山崎 敦子氏、北海道大学大学院理学院博士後期課程の渡邉 貴昭氏らの研究グループは、メソポタミア文明初の帝国 (アッカド帝国) の崩壊に繋がった気候変動の詳細を、化石サンゴの記録から明らかにしました。

西アジアのメソポタミア地域 (現在のシリアやイラク) で発達したメソポタミア文明では、約 4,600 年前に初の帝国であるアッカド帝国が建国されました。その後も繁栄を続けましたが、この帝国は約 4,200 年前に滅亡してしまいます。これまでの考古調査や古気候の復元記録の結果では、気候変動がこの帝国の滅亡に寄与したことが示唆されています。

研究グループは、オマーン産の造礁性サンゴの化石の酸素安定同位体比や Sr/Ca 比 (ストロンチウム / カルシウム比) を分析し、4,500 〜 2,900 年前の海水温・塩分変動を復元した結果、約 4,100 年前の冬は他の時代と比べて極めて乾燥・寒冷であったことを解明しました。この乾燥・寒冷な気候により、アッカド帝国の農業社会は不振に陥り、帝国が滅亡したことが示唆されました。

なお、本研究成果は、2019 年 10 月 2 日 (水) 公開の「Geology」誌に掲載されました。(https://doi.org/10.1130/G46604.1)

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