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若狭教授らの研究グループが中性子過剰なスズ同位体の巨大共鳴観測に成功しました。

  • 2018年10月22日(月)

 理化学研究所 (理研) 仁科加速器科学研究センター スピン・アイソスピン研究室 笹野匡紀専任研究員、上坂友洋室長、九州大学理学府の安田淳平大学院生 (研究当時)、理学研究院の若狭智嗣教授らの国際共同研究グループは、理研の重イオン加速器施設「RI ビームファクトリー (RIBF)」を用いて、二重魔法数核「スズ-132 (132Sn)」に対する「巨大共鳴状態」の観測に世界で初めて成功しました。

本研究成果により、「パイ中間子」が引き起こす「パイ中間子凝縮」と呼ばれる相転移現象が起こる条件が明らかになり、中性子星の構造や急速冷却現象の解明が進むと期待できます。

1973 年に予言されたパイ中間子凝縮は、通常の原子核ではまだ観測されていませんが、中性子星では起きている可能性があると考えられています。今回、 国際共同研究グループは、RIBF において生成された 132Sn ビームを液体水素標的に照射し、引き起こされた「荷電交換 (p, n) 反応」を「WINDS 中性子検出器」と「SAMURAI 磁気スペクトロメーター」を用いて測定することで、パイ中間子凝縮の性質を反映する巨大共鳴状態 (ガモフ・テラー巨大共鳴) の観測に成功しました。得られたスペクトルと理論計算の比較から、パイ中間子凝縮が通常の原子核密度の 2 倍以上の環境、すなわち太陽質量の 1.4 倍より重い中性子星で起こっている可能性が高いという結論を得ました。

本研究は、米国の科学雑誌「Physical Review Letters」のオンライン版 (9 月 26 日付け) に掲載されました。(https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.121.132501)

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