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牧野広樹さんが「第11回(2017年)日本物理学会若手奨励賞」を受賞しました。

  • 2016年10月28日(金)

 大学院理学研究院物理学部門 テクニカルスタッフの牧野広樹さんが「第11回(2017年)日本物理学会若手奨励賞」を受賞しました。本賞は将来の物理学を担う優秀な若手研究者に日本物理学会から授与されるものです。

受賞者

牧野 広樹 (大学院理学研究院物理学部門 テクニカルスタッフ)

研究テーマ

 グラディエントフローを用いた、格子場の理論におけるエネルギー・運動量テンソルの構成

研究概要

 牧野氏の業績は、フェルミオンが入った理論においてもグラディエントフローの手法を用いてエネルギー・運動量テンソルを構成できることを示したもの、およびO(N)非線形シグマ模型におけるグラディエントフローの繰り込み可能性の証明・エネルギー・運動量テンソルを構成を行ったものである。これらは鈴木氏の結果の自然な拡張のようにも見えるが、非常に非自明な結果である。フェルミオンを含んだ理論の場合には、フェルミオンの場にグラディエントフローによる変形を施しても、繰り込まれた有限な場にはならないという本質的な困難がある。O(N)非線形シグマ模型の場合も同様にグラディエントフローによる変形が有効であるかは一見明らかではない場合である。これらの場合について、グラディエントフローの手法の有効性を証明した牧野氏の業績は高く評価できる。

 当該研究において、牧野氏は主導的な役割を果たしている。また、牧野氏らのフェルミオンが入った場合についての結果を用いて、最近有限温度の格子ゲージ理論の数値的研究が行われており、将来さらに様々な発展が見込まれる。これらの理由により、牧野氏は若手奨励賞にふさわしいと判断した。

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