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岡崎 准教授、奈良岡 教授らの研究グループが、小惑星リュウグウの砂から窒化した鉄の鉱物を発見しました。

  • 2023年12月4日(月)

    概要

     太陽から遠く離れた場所で生まれた氷天体や彗星にはアンモニウム塩のような窒素化合物が大量に貯蔵されています。このような窒素を含む固体は生命の材料物質としてとても重要だと考えられていますが、地球軌道の地域に輸送される証拠は見つかっていませんでした。本研究では、地球の近くに軌道をもつ小惑星リュウグウの砂を電子顕微鏡で調べ、砂のごく表面が窒化した鉄 (窒化鉄:Fe4N) に覆われていることを発見しました。窒化鉄は、磁鉄鉱と呼ばれる鉄原子と酸素原子の鉱物の表面で見られます。我々は、氷天体からやってきたアンモニア化合物を大量に含む微小な隕石がリュウグウに衝突して、磁鉄鉱の表面で化学反応が起こり、この窒化鉄が形成したと考えました。小惑星の表層では、太陽から吹くイオンの風 (太陽風) の照射などによって磁鉄鉱の表面から酸素が失われていて、アンモニアと反応しやすい金属鉄がごく表面に形成しています。このため、磁鉄鉱の表面ではアンモニアに由来する窒化鉄の合成が促されたと推測しています。この微小隕石は太陽系遠方の氷天体からやってきたかもしれず、これまで気づかれてきたよりも多くの量の窒素化合物が太陽系の地球付近に輸送されて、生命の材料となった可能性があります。

     本成果は、京都大学 白眉センターの松本 徹 特定助教、理学研究科の野口 高明 教授、三宅 亮 准教授、伊神 洋平 助教、化学研究所の治田 充貴 准教授、および九州大学 大学院理学研究院 地球惑星科学部門の岡崎 隆司 准教授、奈良岡 浩 教授を含む国際的な共同研究者のグループによって行われ、2023 年 11 月 30 日に英国の国際学術誌「Nature Astronomy」にオンライン掲載されました (https://doi.org/10.1038/s41550-023-02137-z)。

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