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井上 裕貴さんらの研究グループが、オパールや石英中から新鉱物「北海道石」を発見しました。

  • 2023年11月13日(月)

    概要

     九州大学 大学院理学府の井上 裕貴さん、公益財団法人 相模中央化学研究所 田中 陵二 主任研究員 (兼務:東海大学客員教授)、日本地学研究会 萩原 昭人さん、大阪大学 総合学術博物館 石橋 隆 招へい研究員 (資料部所属) の研究グループは、北海道河東郡鹿追町および上川郡愛別町の山林で、世界初となる新鉱物「北海道石 (ほっかいどうせき)、学名:hokkaidoite (ホッカイドウアイト)」を発見。令和 5 年1月に国際鉱物学連合において命名承認・登録を受けました (登録番号 IMA2022-104)。これは日本における初めての有機鉱物の新鉱物でもあります。

     北海道石は、鹿追町にかつて存在した古温泉により形成されたオパール中に微細な淡黄色樹枝状結晶として多量に見られ、紫外線照射により黄色~黄緑色蛍光を発します。また、愛別町では石英 (二酸化ケイ素) 中の隙間に存在していることを発見しました (本研究の試料採取は環境省、林野庁、地権者の了承を得て採取)。

     中学生の時に蛍光するオパールを初めて見て感動した井上さんは、理工系の大学を経て、鉱物に関する研究をしたくて九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻に進学し、現在は鉱物の形成メカニズムの研究を行っています。研究を進める中で知り合った研究者とともに新鉱物の調査を行いました。井上さんは地球化学や地質調査の観点から今回の研究グループに参加しました。蛍光するオパールとの出会いから約 10 年後、自ら新鉱物を発見したことになりました。

     北海道石の正体は、炭素および水素のみからなる有機化合物「ベンゾ[ghi]ペリレン」の天然結晶です。これは、コロネンと呼ばれる有機化合物の天然の前駆物質であると考えられ、今回の産出は従来詳細な情報がなかったコロネンの生成メカニズムや熱水に伴う石油の形成プロセスの謎を解く鍵になることが期待されます。

     なお、本研究の成果は、5 月に日本地球惑星科学連合 2023 年大会、8 月に岩石水相互作用 (WRI17) と応用同位体地球化学 (AIG-14) の国際会議において発表されました (国際会議では Student poster award 受賞)。また、関係機関より報道機関宛にお知らせしました。

    ※ 本件についての詳細およびお問い合わせ先は以下をご覧ください。

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