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赤木 右 名誉教授が日本地球化学会「学会賞」を受賞しました。

  • 2023年10月19日(木)

 大学院理学研究院 地球惑星科学部門の赤木 右 名誉教授が 2023 年度 日本地球化学会「学会賞」を受賞しました。この賞は、一般社団法人日本地球化学会 学会賞授賞規程 第 4 条に基づき、地球化学の分野で、特に優秀な業績をおさめた学会員に授与されます。

受賞者

赤木 右 (大学院理学研究院 地球惑星科学部門 名誉教授)

研究テーマ

地球表層の元素循環と生物の関与に関する地球化学的研究

研究概要

 赤木 右 氏は、海洋化学や環境化学、生物地球化学、マントルや海洋の希土類元素地球化学など、地球化学が対象とするあらゆる事象に独創性に富んだ視点から取り組み、開拓的な業績を数多く残した。地球表層における物質循環については、サンゴや植物中の希土類元素から無機栄養の起源や化学的環境を推定する方法を提唱した。また、地球深部環境については、ダイヤモンドの希土類元素組成を測定する手法を編み出し、太古から地球深部に隔離されてきた始源的成分の存在を明らかにした。このような地球全体を俯瞰した環境研究は更なる深化を遂げており、最近では地球表層の元素循環の出発点である化学風化について、生物の積極的な寄与を証明しつつある。一例を挙げれば、珪藻ケイ酸殻の特徴的な希土類元素組成を精密に測定し、海洋における希土類元素の循環が珪藻ケイ酸殻をキャリアーにすることで整合的に説明できることを世界に先駆けて示した。さらに、深海における微生物による化学的風化反応を発見した。このことで、従来の考えでは難問であった氷期–間氷期サイクルにおける炭素隔離の問題に明快な説明が与えられ、今後もさらなる発展が期待され、気候変動や炭素循環に関するこれまでの常識を覆す可能性を秘めている。

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