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リュウ准教授らがGPS通信障害の原因となるプラズマバブルの発生源に迫りました。

  • 2017年7月14日(金)

 九州大学大学院理学研究院のリュウ・フイシン准教授らの国際共同研究グループは、全地球測位システム(GPS)通信の障害になっているプラズマバブルと呼ばれる現象の発生源が、中規模の重力波である可能性が非常に高いことを、世界で初めて実際の観測で示しました。

 GPSは車、船舶、飛行機等の位置情報を把握するためになくてはならないものですが、地表から高度約100km以上の電離圏と呼ばれる領域で発生するプラズマバブルがGPS通信の不具合に大きな影響を与えています。プラズマバブルの発生源について、地表から約100~1000km上空にある電離圏F下部領域の大気重力波であるかどうか研究者間で長年議論されてきましたが、大気重力波の直接観測を使った研究が行われてこなかったため、その真相は不明のままでした。

 今回、リュウ准教授らの研究グループは、欧州宇宙機関(ESA)の保有する人工衛星「GOCE(ゴーチェ)」を用い、電離圏F領域における波長150~620kmの中規模重力波を観測しました。その結果、赤道域の高度250kmでは、重力波は海の上空より陸の上空で活発になっていることが初めて明らかになりました。また、重力波が活発な地域ではプラズマバブルの発生も多く、プラズマバブルの発生源が重力波である可能性が非常に高いことを示しました。さらに、重力波は熱帯対流活動で励起され、砕波と2次波の再生により電離圏まで伝搬することで、天気現象と宇宙現象のつながりを示唆しています。

 本研究成果は、2017年6月26日に米国科学雑誌「Geophysics Research Letters」のオンライン速報版に掲載されました。近日中に確定版が掲載される予定です。(https://doi.org/10.1002/2017GL073855)

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