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池ノ内教授、重富さんらの研究グループがコレステロールが細胞同士の接着を制御する仕組みを解明しました。

  • 2018年5月8日(火)

 私たちの体は、多くの細胞が接着して形成されています。細胞同士が密に接着し、体の表面を覆うことによって、体の外にある細菌やウイルスなど異物が体内に侵入することを防ぎ、また体の中にある水やイオンが体外に出て行ってしまうことを防いでいます。細胞同士を密につなぎ合わせる構造はタイトジャンクションと呼ばれます。このタイトジャンクションの形成に関わるタンパク質についてこれまで多くの研究がなされてきましたが、脂質の働きは明らかにされていませんでした。

 今回、九州大学大学院理学研究院の池ノ内順一教授、システム生命科学府一貫制博士課程 3 年重富健太 (日本学術振興会特別研究員 DC1) らの研究グループは、タイトジャンクションの形成に、脂質の1つであるコレステロールが必須であることを明らかにしました。コレステロールは体の中で様々な役割を果たしていることが知られていますが、細胞同士の接着の制御に関わっていることが今回初めて明らかになりました。

 病気の原因となる細菌やウイルスが体内に侵入することを防ぐタイトジャンクションが破綻すると、潰瘍性大腸炎やアトピー性皮膚炎などの慢性炎症の発症につながります。このため、コレステロールを介したタイトジャンクションの制御機構の解明は、慢性炎症の新たな予防法や治療法を開発する上で基礎となる知見です。

 本研究は、文部科学省 日本学術振興会 科学研究費 (16H04786)、日本医療研究開発機構 革新的先端研究開発支援事業「AMED-PRIME」(画期的医薬品等の創出をめざす脂質の生理活性と機能の解明) などの支援を受けて行われました。 

 本研究成果は、米国科学雑誌「Journal of Cell Biology」のオンライン版に 2018 年 5 月 2 日 (水) 午前 9 時 (米国東部夏時間) に掲載されました。(https://doi.org/10.1083/jcb.201711042)

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