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川畑主幹教授、柴田助教らがハエの架橋酵素が脂質修飾とエクソソームを介して分泌されることを解明しました。

  • 2017年5月18日(木)

 エクソソーム(exosome)は血液やリンパ液などに含まれる、直径が20nmから100nm程度のナノ小胞です。主に細胞同士のコミュニケーションやがん細胞の浸潤・転移などに関わっており、重要な研究課題です。九州大学高等研究院の柴田俊生助教、理学研究院の川畑俊一郎主幹教授らの研究グループは、これまでにキイロショウジョウバエ(ハエ)のタンパク質架橋(糊付け)酵素であるトランスグルタミナーゼ(TG)の機能研究を進めてきました。

 今回、同グループはハエTGの一つであるTG-Aのアミノ末端側に見出された新たな分泌シグナルが脂質修飾を受けて、エクソソームとして分泌されることを明らかにしました。脂質修飾によるタンパク質のエクソソームを介した分泌はこれまでに知られていませんでした。同グループが行ったショウジョウバエを用いた実験においては、エクソソームは細菌や他の細胞に取り込まれ、殺菌や生体の恒常性維持に関わっていることが分かりました。これにより今後はハエの分野に限らず、哺乳類を用いた研究分野全般においてもタンパク質の分泌機構の研究が推進されるきっかけとなることが期待できます。

 本研究成果は、米国の国際学術誌The Journal of Biological Chemistryのオンライン速報版で2017年5月5日(金)に掲載されました。近日中に確定版が掲載される予定です。(https://doi.org/10.1074/jbc.M117.779710)

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