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槇さん、柴田助教、川畑教授らが架橋(糊付け)酵素とポリアミンによる免疫過剰反応の抑制機構を解明しました。

  • 2017年3月17日(金)

 免疫系は微生物に対する過剰反応を防ぐために、巧妙な制御機構を備えています。九州大学大学院システム生命科学府の槇 光輝(4年生)、高等研究院の柴田俊生助教、大学院理学研究院の川畑俊一郎主幹教授らの研究グループは、これまでショウジョウバエを用いて、架橋(糊付け)酵素であるトランスグルタミナーゼ(TG)が、免疫遺伝子のスイッチを入れるNF-κBと呼ばれるタンパク質(転写因子)のひとつであるレリッシュの分子の間を架橋することを報告していました。今回、細胞の核内において、トランスグルタミナーゼ(TG)の架橋反応を介して、レリッシュ分子内の特定のアミノ酸(グルタミン)にポリアミンが架橋されることで、レリッシュのDNA結合能力が阻害され、過剰な免疫遺伝子の発現が抑制されることが判明しました。哺乳類においては、NF-κBの過剰な活性化は炎症疾患の原因となります。また哺乳類と昆虫においては、免疫の情報伝達経路のひとつであるNF-κB経路は相互に類似しており、進化的に保存されています。今回の発見により炎症疾患の原因解明や治療に寄与すると期待されます。

本研究成果は、米国の国際学術誌『The Journal of Biological Chemistry』のオンライン速報版で 2017年3月3日(金)に掲載されました。近日中に確定版が掲載される予定です。(https://doi.org/10.1074/jbc.M117.779579)

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