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中島助教のグループが火星ダストデビルの性質を解明しました。

  • 2016年8月3日(水)

 九州大学理学研究院の中島健介助教らの共同研究グループは、スーパーコンピュータ「京」を用いた超高解像度シミュレーションにより、火星大気中の「塵旋風(じんせんぷう)」を大量に再現し、その大きさや強さの統計的性質を明らかにしました。

 塵旋風とは晴天時の日中、砂漠などで渦巻き状に立ち上がる突風で、英語では塵の悪魔「Dust Devil(ダストデビル)」と呼ばれます。火星ではダストデビルが頻発し、それにより大気中の塵が地表から大気中へ巻き上がることが気象と気候、およびその変動に大きな影響を与えると考えられています。これまでの火星の観測だけではダストデビルの数が少ないため、多くの情報を得ることは困難でした。そこで計算機による火星大気のシミュレーションが試みられましたが、従来のコンピュータでは性能が不足していました。研究グループは「京」で約200時間をかけてシミュレーションした結果、3,000個を超えるダストデビルを発生させることに成功し、どのくらいの規模のダストデビルがどのくらいの頻度で存在するかが分かるようになりました。今後、さらにシミュレーションを重ねることにより、火星天気予報の実現や、無人・有人探査機における火星への着陸・地上活動に貢献すると期待できます。

 本研究は、米国の科学雑誌『Geophysical Research Letters』(5月16日号;http://dx.doi.org/10.1002/2016GL068896)に掲載され、同誌ウェブサイトでハイライトされました。また、米国の科学雑誌『Eos Earth & Space Science News』(6月23日付;http://dx.doi.org/10.1029/2016EO054507)のリサーチスポットライトでも取り上げられました。

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