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イベント情報の詳細

イベント名 第4回地惑惑星科学談話会
成層圏・中間圏が対流圏循環場に及ぼす影響 ~気候モデルを用いた考察~
イベント種類 セミナー
対象 教職員向け 大学院生向け 学部生向け
イベント概要 講演者:河谷芳雄氏(国立研究開発法人海洋研究開発機構・主任研究員)

要 旨 :
 日々の天気の変化が起こる対流圏現象を予測・再現する時に、対流圏のみフ
ルカバーするモデル上端に設定すれば十分か、と言われると実はそうではない。
対流圏の上層に位置する成層圏をフルカバーするモデルを用いると、対流圏循
環の再現性が向上し、日々の天気予測スキルも改善することが経験的に知られ
ている。
 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)評価報告書で活用される、結合モデル
相互比較プロジェクト(CMIP)の気候モデル群を見ると、第4次報告書(2007年)
時は成層圏をフルカバーするモデルが23モデル中ゼロだったの対して、第5次
報告書(2013年)では47モデル中11、第6次報告書(2021年)では成層圏を含むモ
デルが主流派になってきた。
 対流圏から成層圏への影響と比べ、成層圏から対流圏へ影響を及ぼす現象の
理解は格段に困難である。これを調べる手段として、世界中のCMIP気候モデル
群を、ハイトップ(成層圏をフルカバーする)とロートップ(成層圏をフルカ
バーしない)モデルに分けて、両者の違いを見出す方法がある。しかし各モデ
ルで物理法則を記述する過程や解像度が異なる影響の方が大きく、同手法では
成層圏が対流圏へ与える影響を定量的に理解するのは難しいことが分かった。
 そこで今回、モデル上端以外の条件を全て同じにしたハイトップ&ロートッ
プ大気気候モデル実験を行い、両者の類似点・相違点を精査することで、成層
圏が対流圏循環場や降水形成に与える影響を包括的に示した。成層圏には赤道
域で上昇し高緯度で下降する、ブリューワー・ドブソン循環(BD循環)と呼ば
れる大規模な流れが存在する。ロートップモデルでは成層圏BD循環が適切に再
現できず、(1)極域下降流が弱くなり、(2)温度が低く、(3)成層圏極渦が強く
なる。付随して(4)直下の西風も対流圏全体で強まり、対流圏傾圧波活動が極
側へシフトし、高緯度側での低圧偏差や降水増加が起こる。すなわち成層圏が
地表面付近の気圧・降水・循環場にまで多大な影響を及ぼしていることが判明
した。更に中間圏界面までモデル上端を上げると、気象現象の再現性が改良さ
れることも示された。
 当日は上記のことを基礎的なことを含めてなるべく分かりやすく話すつもり
です。学生さんからの積極的な質問をお待ちしております。
開催期間 2019年12月6日 16:30〜17:30
会場 地球惑星科学講義室 D209
定員 なし
参加費 無料
申込み方法 事前申込み不要
お問い合わせ先
担当
地球惑星科学科 廣岡俊彦
E-Mail
hirook◎geo.kyushu-u.ac.jp
※メールアドレスの◎を@に変更してください