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佐藤准教授らが光を用いて磁性体中に大振幅テラヘルツ・スピン波を励起することに成功しました。

  • 2017年9月22日(金)

 九州大学大学院理学研究院の佐藤琢哉准教授は東京大学、立命館大学、京都大学、および海外の研究チームと共同で、フェムト秒光パルスを磁性体に照射することで、従来より高い周波数のテラヘルツ・スピン波を最高効率で励起することに成功しました。

 光を用いた磁性体の超高速制御は、基礎・応用の両面から注目されています。可視光や近赤外光は主に電子の軌道角運動量と相互作用します。しかし、多くの磁性体では軌道角運動量が消失しているため、磁化と光との相互作用は大きくありません。本研究では、軌道角運動量が消失していない酸化コバルトに着眼し、フェムト秒光パルスを用いた大振幅のスピン波(磁化の波)励起を実証しました。また、反強磁性体はスピン波の周波数がテラヘルツ帯に達することが知られていますが、反強磁性酸化コバルトはその中でも最も高い周波数を示しました。

 この結果は、電子スピンを用いる情報技術(スピントロニクス)における超高速かつ高効率な磁気光学デバイス(テラヘルツ放射源、光磁気記録など)の開発につながると期待されます。

 本研究は、東京大学の黒田和男 名誉教授(現・宇都宮大学特任教授)、志村努教授、飯田隆吾 博士、立命館大学の是枝聡肇 教授、藤井康裕 助教、京都大学の植田浩明 准教授、ドイツ・FAUの樋口卓也 博士、ウクライナ・磁性研究所のBoris Ivanov教授、ロシア・NUST MISiSのVictor Butrim博士との共同研究です。本研究成果は、2017年9月21日10時(英国夏時間)に英国科学誌Natureの姉妹誌Nature Communicationsにオンライン掲載されました。(https://doi.org/10.1038/s41467-017-00616-2)

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