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石橋准教授のグループが新手法でトカラ列島近海の海底火山活動を発見・観測しました。

  • 2016年9月29日(木)

 九州大学理学研究院の石橋純一郎准教授らの共同研究グループは、トカラ列島近海の火山活動を音響探査で発見しました。化学観測でヘリウム・メタンのフラックスと起源を調べ、鹿児島湾の若尊カルデラとの地殻構造と微生物活動の違いを示しました。

 浅海の火山からの熱流体の放出は海洋環境を支配する重要な役割を持つ一方で、海上の船舶に被害を与える可能性があります。九州地方南西に位置するトカラ列島近海では海底火山活動の存在が指摘されてきましたが、熱水噴出孔の詳細な海洋化学については知見がありませんでした。研究グループは、2014年6月28日から7月5日にかけて学術研究船「新青丸」で海底地形調査を実施し、新たな熱水噴出孔を発見して海水試料を採取しました。実験室で分析したデータはトカラ列島と鹿児島湾におけるヘリウム・メタンのフラックスと起源の違いを示し、それらは地殻構造と熱水周辺の微生物活動に起因することを明らかにしました。本研究は音響測深器によるウォーターカラム画像で効率的に熱水噴出孔の位置を特定し、そこへ向かって採水器を投下することで確実性の高い熱水採取を行った最初の例であり、浅海の火山調査に有用な新規手法を提唱しています。地球化学的観測による火山活動の評価は防災の側面で重要性が高く、本研究成果はトカラ列島をはじめとする浅海の火山地域における観測体制の整備に対して大きく貢献すると期待されます。

 本研究は、オンラインオープンアクセス科学雑誌『Scientific Reports』(9月27日号;http://dx.doi.org/10.1038/srep34126)に掲載されました。

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