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佐竹准教授、立木さんらがブナの豊凶をもたらす窒素の役割を解明しました。

  • 2016年7月25日(月)

 九州大学大学院理学研究院の佐竹暁子准教授と立木佑弥博士研究員(現所属:京都大学ウイルス研究所)、北海道立総合研究機構林業試験場の阿部友幸主査のグループ、そして森林総合研究所の韓慶民博士は、植物の繁殖量の豊凶が生じる仕組みの一端を明らかにしました。多くの樹木では、花や種子の量が大きく年変動しそれが個体間で同調することで、森林全体で実りの豊かな豊作年とほとんど種子のない凶作年が生じます。こうした木の実の豊凶が、食物網を通じてツキノワグマやヒグマ、アカネズミといった哺乳類や,種子食性昆虫の集団にも大きな影響を与えることが知られていますが、どのような仕組みで豊凶が生まれるのかについてはまだ未解明の点が多く残っています。

 研究グループは、北海道南部のブナ林の開花挙動を10年以上追跡調査し、花や種子へ配分される炭素と窒素資源量を分析することで、ブナの豊凶は窒素資源の年変動によって生じることを明らかにしました。窒素資源の土壌からの吸収および繁殖への投資と高温による花芽形成の抑制を考慮した数理モデルによって、ブナ170個体で観測された複雑な開花挙動を説明することが示されました。本アプローチは多様な植物へ応用可能であり、豊凶の将来予測に役立てることができます。

 本研究成果は、2016年7月24日(日)午前11時5分(米国東部時間)に国際科学誌「Ecology Letters」のオンライン版(http://dx.doi.org/10.1111/ele.12651)で公開されました。

※本件についての詳細およびお問い合わせ先は以下の九州大学プレスリリースをご覧ください。

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