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木村崇主幹教授らが熱を使った効率的な純スピン流生成に成功しました。

  • 2014年9月22日(月)

 JST戦略的創造研究推進事業において、九州大学大学院 理学研究院の木村 崇主幹教授らは、スピンを使った次世代の電子素子(デバイス)での応用が期待される「純スピン流」を、熱を使って効率的に生成することに成功しました。

 電子が持つスピン(磁気)の性質を利用するスピンデバイスは、次世代の省エネルギーデバイスとして注目されています。もしスピンのみの流れ(純スピン流)を使うことができれば、電荷の流れによるジュール熱が発生しないので、エネルギー利用効率の良いスピン情報伝達が可能で、スピンデバイスのさらなる高性能化に貢献すると期待されています。しかし、これまでの手法では、純スピン流を作るために電流を流す必要があり、ジュール損失などの問題がありました。

 研究グループは、強磁性金属であるCoFeAl合金を加熱することで、電流を流すことなく極めて効率的に純スピン流を生成できることを見いだしました。さらに、同手法をデバイスに組み込むことで、2桁以上大きなスピン信号の取り出しに成功しました。

 本技術は、現在は捨てられている電子回路上の排熱を効率的に利用して動作する新しい省エネデバイスへの応用が期待されます。また、マイクロ波照射による強磁性体の発熱現象を用いることで、無駄な電気配線を減らしワイヤレスで動作するスピンデバイスも可能となります。加えて、環境中から微小な熱エネルギーを取り出し電気エネルギーに変換して利用する新しいエナジーハーベスティング技術への応用などが期待できます。

 本研究成果は、ネイチャーパブリッシンググループ(NPG)「NPG asia materials」のオンライン速報版に掲載されました。

※本件についての詳細およびお問い合わせ先は以下の九州大学プレスリリースをご覧ください。

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