HOME > 国際交流・留学 > 九大生向け情報 > 理学部・理学府・システム生命科学府留学支援奨学金制度 > 平成29年度 奨学金受給者報告書

平成29年度 奨学金受給者報告書

氏名 Bさん
学科・専攻、学年 地球惑星科学科1年
留学先(国名) オレゴン州立大学(アメリカ)
留学期間 平成30年2月22日~平成30年3月23日

留学内容全体について

 今回のプログラムの主な目的は、英語の語学力の向上と、外国の生徒との交流であったと思う。海外留学はそれがどの地であろうと、現地の言葉に触れるので、確実に語学力は向上する。今回私が訪れたのは、アメリカであるから、生きた英語を学ぶことができた。もちろん日本でも英語を学ぶことはできるし、九州大学はたくさんの交換留学生がいるから国際的な交流は可能である。しかし、現地の英語しかない環境で過ごすことに意味があったと思う。つまり、食事、買い物、コーヒーショップでの店員との会話、トイレの場所を聞くなどの日常会話レベルの英語に触れることは現地でないと難しい。また、私たちが普段友達と話すときに使うような言葉は日本の学校では学べない。だから、現地に留学してルームメイトや、外国の学生と会話をすることで実際に使われている日常会話レベルの英語を学ぶことが出来たのは、非常に大きな経験である。このような、日常会話レベルの英語を学ぶとともに、授業ではアカデミックな英語を学ぶこともできた。月曜日から金曜日の平日は、一日5時間程度授業があった。主に、3種類の授業を受けた。オレゴン州や、アメリカの文化や歴史を学ぶ授業、サイエンストピック(理学に関係する話題)を取り上げてその分野で使われる単語や表現を学ぶ授業、そして学内の研究室や、施設を見学するツアーを通して、オレゴン州立大学について学ぶ授業の3つだ。どの授業も先生が工夫を凝らしたもので、日本の大学での授業とは全く違った。まず、どの授業も会話を重視していて、先生と生徒の双方の会話によって授業が進行した。日本だと、多くの場合先生の一方的な説明を聞くのが主流であるが、アメリカ、とりわけオレゴン州立大学の先生は、必ず「ここまで大丈夫か」と質問を受け付ける機会を設けていて、そこで誰かは必ず質問していくというような授業スタイルであった。また、先生は学生同士のアクティビティの時間を多く取り入れていた。与えられたテーマや課題についてみんなで議論し、一つの意見を作っていく。もちろん全て英語で話すわけだから、論理的な英語が求められ、大変ではあったが、勉強になった。このように、今回のプログラムでは、生の英語に触れることができ、またこちらから英語を発信していく機会も多くあり、英語を学ぶ機会としては十分に満足できるプログラムであった。

オレゴン州立大学正門にて
オレゴン州立大学正門にて

他国の人たちとの交流を通じてどのような変化がありましたか?

 これまで海外に行ったことはなかったが、私は高校生の時に、外国のALTの先生との私的な交流があり、また姉妹校の中国、韓国の交換留学生をサポートするボランティアをしたことがあったので、他国の人と交流したことは事実あった。海外に留学に来ている人たちは、各々目的があって来ている人たちだから、皆意識が高いのはわかっていた。しかし、実際の海外の生徒についてはわからなかった。今回初めて海外に行ってみた感想として、海外の学生はやはり意識が高いことに気づかされた。アメリカの大学の授業料は日本と比べて非常に高い。だからかもしれないが、何も目的もなく大学に入っているというような生徒は一人も見受けられなかった。興味の対象はそれぞれ違うが、自分たちの興味のあることに対する熱意は日本の大学の生徒とは比べ物にならない。私は、現地の大学生と交流することで、学生の勉学に対する熱意を感じ取ることができ、また自分の学識の低さに気づかされ、興味のある分野をとことん突き詰めるためにはもっと熱意を持つ必要があると思わされた。

留学によって変化が見られた事項について

 私は将来、宇宙の始まりについて勉強したいと思っている。ただし、これについてのアプローチを未だに決めていない。つまり、理論的に突き詰めるか、それとも観察によってデータを見つめていくかをまだ決めかねている。今回の留学を通して、その二つを同時にしてみてはどうかなという心境の変化があった。研究室見学や、教授の話、学士の話を聞くと、はなから研究アプローチを決めて、研究している人は少なく、途中途中で進路を変えながらも自分の研究したいことには一貫性をもってしている人を多く見聞きした。だから、様々なアプローチを試みるという手段もあることを学んだ。今私は基幹教育を受けていて、専門的な研究をする機会は少ないが、今からでも本を読んだり、先生や先輩、同じ興味をもつ人との交流を通して、準備できることはたくさんある。そして、将来研究者として研究していくことになると、その準備してきたものが基本となることは確かなことだ。今準備できることをし、将来様々なアプローチを試みてみようという大まかな研究意思を形づくることができた。

オレゴン州の海岸にて
オレゴン州の海岸にて

今回の留学がこれからの進路にどのように活かされますか?

 今回の留学を通して、大学院や、博士課程ではぜひともアメリカで研究してみたいという思いに駆られた。今回の留学によって気づかされたことの一つに、アメリカの大学の設備の充実度が高いことがあげられる。大学内を回るツアーや、研究室訪問によってそれを実際に見て実感した。アメリカのキャンパスは、広大な土地に様々な研究施設が建てられることが多いということは聞いていたが、その通りであった。設備の充実は、研究することのできる範囲が広いことを表しているので私はアメリカで研究したいと感じた。設備の充実に加えて、オレゴン州立大学には世界各国の同じ興味を持った人がみんなで議論して研究していた。バックグラウンドの異なった人たちから得ることのできるのは、多面的な観点、自分には到底思いつかないような様々な研究アプローチなど多くある。日本にいて出来ることも多くあるとは思うが、アメリカで研究をして得ることが出来ることの方がもっと多くあるとこの留学を通して思った。

ポートランドのナイキショップにて
ポートランドのナイキショップにて

後輩に向けて留学して良かった事、準備しておけば良かった事等について

 留学をして後悔することはないと聞いていたが、その通りであると感じた。特にこれまで海外留学したことがない人は、色んな不安が多くなかなか一歩を踏み出すことが難しいと思う。しかし、実際に海外留学してみることのメリットは自分の思っている以上に大きいと思う。大学生の時にしかできない体験の一つが留学であると思う。だから、留学するかどうか迷っている人は、行くべきだと思う。また、留学前に準備しておけばよかったと思うことは、留学した人皆が口をそろえて言うことではあるが、英単語の学習である。文法は正直、これまで学んできた非常に簡単なもので対応できる。しかし、単語は分からなければ、話すことはできないし、聞くこともできない。だから、英語による会話において最も大事なことは英単語であると思う。正直ジェスチャーでなんとかなる場面が多い。なぜなら日本人の発音ではネイティブスピーカーに正確に伝えることが難しいからだ。でも英単語さえ話すことができれば、外国の人はその意図をくみ取ってくれる。だから、留学前にはぜひとも単語の学習をすることを勧めたい。